お葬式の多くは宗教的儀礼として行われています。
宗教・宗派でそれぞれの死生観(生と死に対する考え方)があるため、葬儀の手順・作法なども異なります。
また、最近では宗教にこだわらない形式でお葬式をする方も増えています。
※ ご紹介するのは、あくまでも一般的な内容です。宗教・宗派・宗教者のお考えにより異なります。
仏式は、7割~9割の方が選ばれる日本で最も多い葬儀形式です。
仏教では、亡くなった人は来世で仏様の弟子になるとされています。仏教を元に行う仏式では、故人の成仏を祈り、極楽浄土へ見送ることを目的に葬儀を行います。
「通夜」は夜を通して死者を見守ること、「葬儀式」は宗教儀礼で死者をこの世からあの世に引き渡す宗教的な儀式、「告別式」は社会儀礼で死者に別れを告げる儀式(セレモニー)と、それぞれが大切な意味を持っています。本来「葬儀」と「告別式」は別々に執り行われていましたが、最近ではそれらをまとめて「お葬式」とするのが一般的です。また、通夜を行わず葬儀・告別式のみを行う1日葬を希望される方も増えています。ただし菩提寺のある場合は、葬儀の形式が決まっていることが多いので注意が必要です。
神式とは、神道にのっとった葬儀形式です。神道では、亡くなった人はご先祖様の霊魂と一緒に家にとどまり、家族の守り神(氏神)になると考えられているため、故人の霊を家にとどめるための儀式として神式を行います。
神式では、亡くなった人は守り神になって自分たちを見守っていてくれるという考え方から成仏、冥福、供養といった言葉は用いません。
神道では死はけがれとされているため、神式は神様の聖域である神社ではなく、自宅か葬儀場(斎場)で行います。
仏式の通夜にあたる通夜祭と、葬儀・告別式にあたる葬場祭を行うのが一般的です。
キリスト教において、死は永遠の命の始まりといわれ、亡くなった人は神様に召されて天国で安息を得ることができるとされています。
神式とは少し違いますが、キリスト教でも死ぬことは決して不幸ではないという考え方なので、お悔やみの言葉は言わないのが特徴です。キリスト教には本来「通夜」という概念はありませんが、日本では通夜にあたる儀式を行うことが多く、独自の文化ができあがっています。
葬儀をキリスト教式で執り行う場合には、洗礼を受けている必要があります。
宗教や宗派にとらわれず、宗教者を呼ばずに参列者だけで故人を見送る葬儀形式です。都心部を中心に増えつつあり、信仰心がなく、菩提寺を持たないといった日本人の宗教離れが大きく関係しているとされます。自由葬や音楽葬として故人が好んだ歌を流したり、生演奏をしたり、手紙を読んだりすることもあり、他の葬儀に比べて自由度が高いのが特徴です。その分、送る側は葬儀の構成をしっかりと考えておかなければいけません。
葬儀にはいろいろな形式がありますが、それぞれの違いを正確に理解している人はあまりいません。
ここでは葬儀形式ごとの特徴について説明していきます。
会葬者を限定せず、広くお知らせをする葬儀です。
生前お付き合いのあった方々に広くお知らせし、参列していただきます。
家族葬と一般葬の違いは、参列者の多い・少ないではありません。
一般葬でも、場合によっては家族葬よりも参列者が少ないケースもあります。
参列者からの香典収入により、実支出が軽減されます。
会葬者を限定した葬儀です。基本的には、一般会葬者を呼ぶことなく、家族や親族、親しい友人などの身内のみで執り行います。規模はさまざまで、会葬者は1名~50名超えの場合もあります。家族葬の場合、香典を受け取るか、辞退するかを事前に決めておくとよいでしょう。
通夜や葬儀・告別式などの宗教儀式を行わない、火葬のみの形式です。火葬式とも呼ばれ、納棺後すぐに火葬をします。このため「故人の遺志により直葬にしたが、しっかりとお別れできなかった」と後悔することもあるので、慎重に選択する必要があります。また、菩提寺のある場合は直葬が受け入れられないことも多いので、事前の確認が必要です。
参列をご遠慮いただき、基本的に家族のみで通夜と葬儀を行う形式です。
告別式は行わず、後日一般の方に参列いただく本葬(社葬・お別れの会・しのぶ会など)を執り行います。
密葬の際に火葬されるため、後で行われる本葬は骨葬としてお骨の状態で執り行われることが多いです。